根拠が明確な重力除去療法

 

腰痛のバイオメカニクスの観点からすると、腰椎の痛みを生じさせている上半身の重力(体重)を減らせればその痛みが軽減できることから、「重力の除圧」さえできれば、重度の腰痛患者であっても積極的な治療を施すことはできるはずです。

 

「重力の除圧」によって痛みが軽減できることは、強い痛みがあっても、誰かに両脇を抱えてもらったり、松葉杖を使えば一人で歩けるようになることからも明らかです。

 

また、自分で両膝に手を当てたり、横になって寝ていると楽になるのも、その分、腰部にかかる重力が軽減されるからです。

 

実際、急性腰痛の患者さんの多くは、家族の人に小脇を抱えられて来院するか、松葉杖を使って自力で歩いて来院されます。

 

つまり、激しい痛みを伴う急性腰痛であっても、上半身の体重を支えてやれば痛みが緩和できるわけで、まさにこの「重力の除圧」こそ、理に適った治療法のです。

 

現に、脳神経外科脊椎のスペシャリストでメディカルディレクターのチャールズ・V・バートン氏によると、「1976年、シスターケニー研究所が長期的にわたって、自分自身で調節しながら脊椎の長軸方向に対して除圧をする保存的療法として腰椎重力除去プログラム(GLRP)を発表している」とのこと。

 

また、1993年より行われたミネアポリス大学の腰痛治療臨床試験の結果、「腰痛患者1129名中92・9%の患者に重力除去療法が非常に有効である」との報告もあります。

 

そこで私は、日本でも重力の除圧ができる治療器はないものか、海外のものはベッド型だったので、患者さんが横にならなくても除圧できるタイプがあれば……とアンテナを張りながらあちこち探し続けました。
そして数年前のある日、ついに重力の除圧ができる最適な治療装置と出会ったのです。

 

この治療装置は、「腰痛治療器プロテック」と呼ばれるまったく新しいタイプの腰痛治療器で、日本大学の教授で、旧労働省産業医学研究所の城内博医学博士によって開発されたものです。

 

予めお断りしておきますが、この治療装置は従来型の自動牽引器ではありません。

 

どこにでもよくあるような、体重を利用して斜面の角度で牽引力を調節するタイプの物とはまったく別物。

 

椅子に座ってから上半身を固定し、電動で椅子を下げることによって、まるで赤ちゃんが両脇を抱きかかえられて「高い、高い」をしてもらっているような感覚です。

 

たったこれだけで、腰椎にかかる上半身の重力が除圧されるのです。