腰椎にかかる重力を除去する腰痛治療法
腰痛治療器プロテックを用いて行うのは「FMT」です。FMTとは「Floating Manipulative Therapy」の略で、「プロテック」を用いて腰痛の方の身体を宙に浮かしたのと同じ状態にして運動療法を行うまったく新しい治療法で、一言でいうと「腰椎重力除去療法」、あるいは「除圧による腰椎無痛治療法」です。
この浮かせて治す最新の腰痛治療器を用いることで、より精緻な鑑別技術の向上や早期運動療法が施せるようになったことから、それまで強い痛みがあるため治療が困難だった症例に対しても、治療効果を飛躍的にレベルアップさせることができました。
除圧をした状態で鑑別を続けていく中で、腰部に対する重力の影響がいかに大きいか、ということもよくわかりました。
本来なら、上半身の体重が腰にかかっていても、腰椎の構造が正常であれば身体の重心が安定していて重力とのバランスがとれ、過剰な負担がかかることはありません。
ところが、何らかの原因によって腰椎の構造に異常が生じると、重心のバランスが崩れて、上半身の体重を支えている腰椎に過剰な負荷がかかり、その結果、腰痛が発症するわけです。
この腰椎のバイオメカニズムに則って鑑別を行いながら、より精度を高めていったところ、非特異的腰痛の大半は、腰部の責任部位から見て次の3つに分類できることがわかりました。
「筋・筋膜性腰痛(筋肉疲労)」
「関節性腰痛」
「椎間板性腰痛」
この3つの側面から鑑別を行うのが、FMT腰痛治療法のベースとなる鑑別法です(次章で詳述)。
この鑑別診断に基づいて、それぞれの原因と症状に応じた治療プログラムを立てることによって、ほぼ確実に治癒に導ける手応えを得ることができました。
さらに、施術者の思い込みや誤診を排するうえで、鑑別診断を第三者によって検証するためには医療機関での画像検査が必要であるとの考えから、理解ある整形外科医との連携による統合的な鑑別技術を構築し、独自の運動療法「ニュートンメソッド」を併せて、これをFMT腰痛治療法と名づけたのです。
「ニュートンメソッド」というのは、体幹と両方の下肢(脚部)を上下、前後、左右(体幹にとっては腰部の回旋)に動かす通常の運動療法をベースとして、さらに、前後の動きによるエクササイズに加えて、体幹に回旋を加えた状態での片側性(片方ずつ行う)のエクササイズで、他の方法では実施できないFMT腰痛治療法ならではのオリジナルな治療法です。
これまでにない、まったく新しい「浮かせて治す」という発想のFMT腰痛治療法について、私はまず同じ治療家である柔整師の方々に知っていただいて、簡易な技術でより満足度の高い結果が出せる患者本位の治療を施していただきたいという思いから、「一般社団法人日本FMT腰痛治療協会」を立ち上げ、これまでFMT腰痛治療法の啓蒙活動を行ってきました(会員は「プロテック」を保有する柔道整復師です)。